刻雲録

言霊の幸う国で、言葉が見せる風景を感じる

夏の終わり

夏の終わりの寂しさが

胸の内を激しく打つ

遠くに響く雷のように

飛沫を上げる夕立のように


夏の終わりに背を向けて

僕らは、またここに集う

何から逃げてきたのか問わず

誰を求めてきたかも聞かず


二度は来ない夏の大空に

命を燃やし尽くすと誓い

世界に抗い組伏せられて

僕らはまた、ここに集う


振り向けば影が伸びている

夕陽に囚われ怯えた影が

それでも赤に染まる世界の

優しい嘘を信じたい


陽が沈み、日が暮れる

夏も終わると月が泣く

散った涙の星々が

かの賑わいを静かに語る


夜の静寂に埋もれていないと

胸が張り裂けてしまうから

しまいこんだ言葉を枕に

夏の終わりを一人暮らそう