刻雲録

言霊の幸う国で、言葉が見せる風景を感じる

NHKラジオを聞いて

たまたま聞いていたラジオに思うところがあり、眠気眼で脈動の激しくなるような「ご意見」を公式サイトに送った。

だが文字数制限に苛まれてしまい、消化不良を起こしかねないために当ブログを利用して気持ちのいい朝を迎えることにする。



いや、それができないことはあえて言うべくもないか。




以下全文



なぜNHKは我田引水の権化たる竹中平蔵を臆面もなく出演させているのでしょうか。彼の経歴や肩書きを誉めそやしたいのであれば、その「功」にいたるまでに犯した「罪」についても同様に言及すべきです。東京五輪は彼の会社に莫大な利益をもたらすものであり、利権の蜜に群がる虫の如き彼らが是が非でも開催に漕ぎ着けた結果、コロナウィルスの感染爆発が起こりました。当然、それが全ての原因とは言えません。しかし彼ら「上流階級」の節操なき厚顔無恥な経済活動が国民を振り回し、また死に追いやった事実は確かにあるのです。
そして東京五輪が始まるまで開催の是非をしきりに報じていた貴社を含む各メディア、いざ始まってしまえば手のひらを返し五輪美談の活字探しに腐心するその浅ましい体質は実に恥ずべきものです。事が過ぎた後こそ、その是非について大いに論じ、考察すべきなのです。いつも「功」のみをひけらかし、反省もせず曖昧な態度で過ぎたことに蓋をする日本人のふざけた気質は、日本の歴史が時の権力者の監視下で不都合を塗り潰しながら伝えられてきたという「遺伝的性格」を見事に体現しており、またその日本的宿痾に拍車をかけるのはあなた方メディアなのです。その責任の重さを痛感しなければなりません。
常に利権と内外の政治バランスに翻弄されていては時事を伝えることの本義を掴むことはできないでしょう。

本質的にピラミッド型である社会構造は上から見下ろすのではなく下から見上げ、さらには距離をおくということが社会を片寄りなく捉える姿勢であります。なぜなら社会とは個人の積み上げによって成り立っているからです。
竹中氏を含む、社会を実質的に回している極一部の「トップリーダー」たちは社会の上層だけで金が回ることを「経済」と呼んでいます。その立場から下に降りようとせず、常に高いところから世を眺める人間に誠の「経世済民」はありえません。

いい加減な権威に阿るのはもうやめましょう。社会をよくしたい、との想いが純粋で報道理念に少しでも引っ掛かっているのなら、世の中を歩いてその「原石」に気付きましょう。泥臭く地をゆき、路傍に転がる同じような石の、それぞれが各々に含蓄した空間的な記憶の多様さに気付くことは仏教に言うところの「知慧」であります。また本物の「篤志家」とは、そのような石ころだらけの在野にこそあるものです。