刻雲録

言霊の幸う国で、言葉が見せる風景を感じる

2021-01-01から1年間の記事一覧

夢について②

前稿にて「叶わないのも夢」と書いた。 確かに夢にまで見るものだから叶えば嬉しいが、叶わなくとも夢を見る、ただそれだけで心が豊かになることもあるだろう。 また何らかの影響で夢が果たせなくなることは、例えばこのコロナ禍において多くの人が経験した…

夢について①

夢について書きたい。 しかしながら世間一般的な「我が夢を語る」類いの話題でないことは、聡明なる当ブログ読者にとっては言うまでもないことだろう。物事の本質を捉えるために常識的な視点をずらしてみるという試みとして読んでいただきたい。 「夢を現実…

②自己を内観する ~歩~

歩くことは思考の源であり、また思想そのものであるという思いのもと、絶えず歩き続けてきた。足の感覚にも着目し、漫然と歩くのを嫌い、どこで何をどのように踏んでいるのか足で気付くことを狙って底の薄い履き物を選んだり自作もした。果てはアスファルト…

夏の終わり

夏の終わりの寂しさが胸の内を激しく打つ遠くに響く雷のように飛沫を上げる夕立のように 夏の終わりに背を向けて僕らは、またここに集う何から逃げてきたのか問わず誰を求めてきたかも聞かず 二度は来ない夏の大空に命を燃やし尽くすと誓い世界に抗い組伏せ…

グルメ番長

ところで私はグルメである。 根本的に無趣味な私が唯一趣味と言えそうなものは、実のところ「食事」なのかもしれない。おいしいものを食べることは幸せである。誰かと食べるのはもっと幸せである。これまでに甘味番長、おやつ番長と数々の称号を欲しいままに…

社会的弱者から考える存在と意識 ~その2~

次は歴史的に福祉を見ていくと述べたが、投稿の時期を同じくして世間はある有名人の社会的弱者に対する差別的発言への批判に夢中である。毎度のことながら問題の上っ面を撫で回しただけで大衆的な正義を勝ち取った気になる脳内お花畑な勘違い人間の巣窟たる…

社会的弱者から考える存在と意識 ~その1~

社会的弱者とは我々がその存在を定義付け、意識し始めたときに生まれた者たちなのかもしれないと、歴史を辿るうちに思うことがある。双方に弱者との刷り込みがなければ分け隔てなく社会と接することができたであろう人々が、福祉全盛の現代にも一定数いる。…

青森紀行

私が自分のいいと思える唯一の性質は、年柄もなくいつでも花鳥風月にはしゃぎ回るところである。人間界ではそうないが、自然界においてはよく鳥肌を伴う感動を覚える、そんな自分だけは愛しく思えるのだ。 一方で嫌いなところは掃いて捨てるほどあるが、ひと…

縄文時代とは①

全くもって私の旅は充実しすぎている。お陰で記録はおろか記憶すら追いつかない。 旅はこれまでにも「楽しい」と思える場面がいくつかあった。しかしそれは一時的なものであり、旅そのものを包括しうる感情ではない。「楽」の性質は継続性に欠けるところにあ…

旅の共有の前に

最近になって初めて、資料館の類いにおいて館内撮影が許されていることを知った。無論、施設側としては暗黙の了解という体であろうし、明確に禁止としているところもある。 理由は様々だろうが、フラッシュで資料を痛めないなどといった配慮を前提に撮影が許…

月下美人

海のような命の深淵に置き捨てられた永遠を一筋の光が照らし出す月は今宵も寂夜を抉る愛しい君の幻影が月の下に輪郭を晒す取り戻せぬ時の代わりに在りし日々が静寂(しじま)にさざめく悔いも嘆きも月の下にこぼれ落ちては夢の跡微かな逢瀬の残り香をひしと抱…

コロナ禍

書こうと思い続けて後回しにしてきた題材を、そろそろ殴り書いてみようと思う。 なぜ後回しにしてきたか。私の顕著な性格に後回し癖があることとは別に、コロナ禍に関して感情的にならざるを得ない心境が常に私を内から煽るため、理性的な文章にならないこと…

えらいこっちゃ

数日前にトイレを借りるためだけに入ったバッティングセンター内のゲームコーナーに握力と背筋力を測るゲームがあったので、なんとなしにやってみた。握力は左81kg、右70kg 興奮した。左は4年前より10kgも上がっている。 とはいえゲーセンの測定器など、そも…

私は今を流れているだけである

生きること、死ぬことは、それぞれの人格を全うすることであると以前書いた。 日々の暮らしの中で、あるいは生計を立てる生業の中で人格はいつだって表現される。日銭暮らしであろうが、生きるために汚れていこうが、望まぬ営みに嫌気が差そうが我々はその姿…

時には徒然なるままに

体調の悪化が著しい。仕事中は日に数回ほど意識が飛び、ナルコレプシーかと疑いたくなるほど病的に眠い。そんな中トラックで狭く交通量の多い農道を日長運転するのは正気ではないだろう。合間に畑作業も挟みつつ、である。だが今年の早すぎる梅雨の到来に懐…

明日

咥えたたばこに血がついてた そのわけを知ることも叶わない 口の中は鉄の臭いで充たされて 俺は明日のことを考えてた この頃は振り返ることもしない 日毎に生きることに汚れを感じる それでも何かにしがみつこうとしている 俺はただ安らかに寝たいだけなのに…

①心身を内観する

我々は自分の体を自在に動かしているように思い込んでいるが、実際には単純な動作ですら思い通りにできていないことが多々ある。両腕を真横に水平になるまで上げてと言われ、水平を出せる人は意外と多くない。しかしここで肝心なのはできないことではなく、…

ひとり寂しい夜に

今私はとてつもなく長いトンネルに入り込んでしまっている。今、と書いたのは、恣意的な自我がそう思い込みたいだけで、実のところ随分長いこと出口の見えない道をひたすら進んできたのだーーと書き出してみると何やら文学的知見が展開されそうだが、この稿…

雨に濡れる君にみとれる ネオンライトの明かりの傘に 憩う誠の素直さよ

迷走の果てに待ち受ける責任

齢30というのは想像よりも身にのしかかってくる。 何がこれほど重みを加えているのか、という問いに対し「責任」という答えを導き出すのに時間は必要なかった。私は30年間の人生に対して責任をとらなければならない。これが20代なら「まだまだこれからだ」と…

性暴力を扱う番組から考えることーー消費するばかりの物語について、末広がる教育について

今までなかなか表沙汰になりにくかった災害時における性暴力の実体。 阪神淡路大震災時も被害はあったが、まだまだ自己責任論が根強く、ゆえに相談相手もおらず、さらには世論が女性軽視をまだまだ問題扱いする段階ではなかった。 それでよく先進国だの日本…

どうやって生きるかわからなければ、どうやって死ぬかを考える

自殺を考えてしまう人は、周りの大人たちがよく言うような「甘い人間」などではない。 強くはないかもしれないが、自分に対して「厳しい人間」なのである。自身の状況を社会的な視点から洞察し、 且つ社会の中で自己を確立しようと努力する。 だがそれが叶わ…